ドットのどくご

いつもほんまにありがとうそばにいてくれて

WEST NIGHTに泣かされた話

ジャニーズWESTの9枚目のアルバム「POWER」が発売された頃、わたしは仕事のことで思いがけず直面した現実の波にぐるぐるにのまれていた。

落ち着かない状態が続いていたけど、それでもツイ廃らしくTwitterに住んでるし、平気な顔して日常を暮らしている。でもなんだかすっきりしない。

頭を悩ませてくることがらの全部を誰彼構わずつまびらかにするわけにもいかず、だけど吐き出さないとどうにかなりそうで曖昧な言葉で漏らしてみてもやっぱりすっきりしない。

上がっては下がり、上がれそうでも上がりきれず、下がるかなと思ったら意外と踏みとどまり、みたいなのを繰り返す毎日。

 

しばらく続いていたそんな日々でも、“好き”から供給されるものに触れる気力もあったし(さすがに何から何まで全部は無理だった)、沸いて興奮したり大笑いしたりする元気もあった。だから今回のアルバムもしっかりフラゲして嬉々として開封、次の日の通勤の車内で聴き始めた。

 

アルバム「POWER」の2曲目、ヤバイTシャツ屋さんのこやまたくやさんから提供された「WEST NIGHT」

 

正直に言ってしまうと、初めてフルで聴いたWEST NIGHTは賑やかに跳ね回る音たちが自分の頭や耳を素通りしていくような感じだった。入ってこない。完全に聴く側の私のせい。圧倒的に元気もりもりのこの曲に心の耳をそっと塞いでしまったように思う。

 

だけど。次の日にまた車で流れたWEST NIGHTは違った。

 

なんで昨日はダメで今日は良かったのかはわからない。こんなふうにわいわいエネルギーを爆発させて陽のパワーを送ってくれる人たちがいるんだよな。君のこととにかく笑かしたいって暴れ回ってくれる、もう十分オモロくて優しいのにオモロくて優しい人になりたいと願う愛おしくて大好きな人たちがいるんだよな。彼らもこうやって自分たちを鼓舞していたりするんだろうか。曲をリピートして聴いているうちにそんなことを思ったりもしたけど、この日の一発目は自分でもびっくりするくらい無意識に気づいたらポロポロ涙をこぼしながら運転していた。照史くんの「いつでも俺んとこ遊びに来ぃやぁ〜〜」で涙腺が崩壊したことを覚えている。あぶない。心を寄せてもらって、立ち向かう力をもらったようで、有難くて心強くて、ほんとに涙止まらなかったな。

 

よっしゃーやったるで!!!!!という気分でいっぱいになれたわけではない。けどピリピリして張り詰めているものが少し緩まったような、きっとなんとかどうにかなると落ち着かせてもらったような気がした。そうだ、こんなふうに思いがけないところに救いはたくさんある。きっと。ライブも待ってるじゃん、わけわからんくらいはっちゃけて充電させてもらおう。と未来を見出した気もした。脳内で流れる曲の歌詞を拾っては、「タダじゃおかないぜ」言うてくれる後ろ盾がワシにはおるんじゃわかっとるんかわれぇという気持ちになったりもしたし、予期せぬことが起こったり心無い言動をくらうたび、「なんでやねん」と心で唱えて負の感情をやり過ごそうとした。何回かはなんでやねんをぼそっと口に出してしまっていたかもしれない。わたしにとってはどうしてもそう感じてしまう理不尽さへの怒りやイライラ、悔しい気持ち悲しい寂しい気持ち、この先への漠然とした不安、積み重なっていく暗澹たる想い。WEST NIGHTを聴いて涙を溢したあの日からだってしばらくの間、心の大半はそんなもので埋められていたし、気を抜けば簡単にいろんな感情の混ざった涙が出てきたけど、その度に曲を聴いては、かすかにみえる光をこれ以上小さくしてなるものかと自分を奮い立たせていた。お守りを握りしめるみたいな気持ちだった。

 

今までもいろんなものにすくわれてきたけど今度すくってくれたのはWEST NIGHTだった。

 

ライブも行った。高揚で涙も飛んでいくかと思ったけれど、最高にキラキラのジャニーズWESTを目の前に直接自分の鼓膜を震わせて聴くWEST NIGHTは、おおらかでやさしくて楽しくてやっぱり泣いた。

 

ライブを経ての数日、おさめなければならない業務と別れがたさの詰まったご挨拶が続いて慌ただしく過ごしているうちに年度が変わった。そうして新しい環境に身を置くようになった今もWEST NIGHTを聴いてまだ泣けるときがある。3月の頃の心持ちとはなんとなく違うのだけど。どんな感情かうまく説明できないけれど、有難いようなお力づけのような、うれしくてあったかいのはそのまんま。一方で曲のキラキラと程遠い現実の毎日にやっぱり全部投げて逃げたくなる気持ちとそれをどうにか引き止められているような感覚と。曲を聴いたり歌詞を読んだり唱えたりするだけで感極まって泣けてしまったりする。薄氷みたいな職業人としてのアイデンティティの上にぐらぐらしながらどうにか体勢を保っている毎日。しんどい心にWEST NIGHTは沁みすぎる。自分の不甲斐なさにしょんぼりしながら、だけど、わたしはこれが好きじゃん?って、最後の一雫みたいなポジティブさを手のひらにすくってそれを大切に抱えながら、ちょっとずつ、ほんとにちょっとずつ、進んでいる感覚もある。なんかわからないけど、自分、がんばってるよねって思わせてくれる。けっこうまじめに、WEST NIGHTのおかげで立っていられているし、この新しく始まった日々をどうにか過ごせていると思っている。

 

なんでも一気に好転するわけないし、曲を聴いていたら大丈夫バッチリってわけでもない。聴けるときも聴けないときもある。音楽は万能薬ではないって、なかなかどうにも、生きるのってやっぱりそんなに簡単なことじゃないって、それを察してしまう経験をそれなりに重ねてきたみたい。でももっとずっと時間が過ぎてこの曲を聴いたとき、きっと今頃のことを思い出すんだろうなって思う。しんどくてしんどくて涙を流したこと、底抜けの明るさに救われたこと、そうしてちょっとずつ気持ちを整えていけたこと、ライブがはちゃめちゃに楽しかったこと。そんなふうに今を思い出すところに辿り着くまでに、どんな選択をしていったんだとしても、そのとき笑って振り返られていたらいいなっていう希望が詰まってる曲。

 

大切な曲、いっぱいある。WEST NIGHTもまた、わたしにとって大切で特別な曲になった。

 

こやまさん、WEST NIGHTを生み出してくれてありがとう。

 

WESTさん、わたしの日常を照らしてくれてありがとう。